知りたいと易しく読める本を探していたが、
映画作品でこんなに面白いものがあった。
「スパングリッシュ」である。
映画そのものについては映画情報に精通し、映画を愛されている方々の
ブログ記事を見つけたのでリンクを貼らせて頂く。
どちらもとても美しい体裁のブログだ。
龍眼日記 Longan Diary スパングリッシュ
「スパングリッシュ」 そのサンドイッチ食べさせて! - 目の中のリンゴ
僕が注目したのは言語生活やアメリカ文化受容の違いからくる価値観における
メキシコ系移民社会の世代間の断層である。
これは「スパングリッシュ」においても母と娘の間の葛藤ともなっているが
映画だけでなく現実に広くヒスパニック社会に見られる問題らしい。
「アメリカのヒスパニック・ラティーの社会を知るための55章」という本には
そのへんの実話が掲載されているので興味がある方にはお勧めしたい。
NHK教育テレビのスペイン語会話番組他良心的なスペイン語学習のテキストには
メキシコや南米スペイン語圏、それにスペイン本国のスペイン語と
違ってプエルトリコやキューバ、ドミニカ共和国のカリブ海スペイン語圏の
それは「S」の音が省かれて発音されることが頻繁に言及されている。
同じスペイン語を話す友人が得られると期待していた
ヒスパニック系移民の子供が出身地の違いによる
アクセントなどの違いから期待したようなスペイン語による意思疎通が
はかれずに孤立し、発想を変えて英語を学び、非ヒスパニック系の友人を得た
エピソードなどが紹介されている。
スペイン語とイタリア語、ポルトガル語がどこまで相互にイケイケかという
記事まで書いている僕としては驚きだった。
アメリカにはヒスパニックといっても「スパングリッシュ」の題材となった
メキシコ系だけでなくプエルトリコやキューバ系も多いとは先述の通りだが
ジェニファー・ロペス主演の「メイド・イン・マンハッタン」ではヒロインは
「地中海系」と台詞のなかでも形容して言われている。
関連記事「ジェニファー・ロペスは地中海系」を興味があれば御覧下さい。
この「スパングリッシュ」のなかではヒロインの娘が、ヒロインが
働くアメリカ人家庭の好意で通うことになった(一時的だが)学校で
出迎えた学校関係者にその容貌から「スペイン系?」と当事者の
そばで尋ねている。
「ルポ 貧困大国アメリカ」という本にも簡潔に述べられているが
アメリカの投資ビジネスに唆されあの「サブプライム・ローン」問題で
クローズアップされた「低信用度」の住宅購入者には
メキシコ系移民が多かったそうだ。
彼らはむしろ「スパングリッシュ」のヒロインが当初そうしていたように
アメリカのそうした「毒」なほどのビジネスにふれることもなく
同じスペイン語を話す、それも同郷のメキシコ人同士で固まって
質素に暮らしながら地道に生活する方が幸せだったし、
世界中にサブプライム問題を波及させることもなかったのではないかと
思ったりした。
さて、そのアメリカでも幅をきかせてきていたメキシコ系をはじめとする
ヒスパニック系だが、新たにアメリカに移住をする流れは収まりつつある
ようだ。
2008年4月23日号のニューズウィーク日本版に
最近のドル安を反映してラテンアメリカ諸国からの移民が減少したり、
既存の移民でさえ故国に帰る動きが顕著だと伝えられていた。
反対に強くなってきたユーロを背景に言語も共通したスペインに
ラテンアメリカ諸国からの移住者が増えているとも。
またテレビの報道ではアフリカ諸国からもスペインへの移民が増えている
様子が紹介されていた。
祖国を離れて他国に移住する背景には切実なものがあるかと思う。
しかし、僕には単純にアメリカ一極集中的な人や文化の流入がやみ、
多様化したり特にラテンアメリカからアメリカ以外の国に
流れるのは興味深い。
いや、むしろ拍手を送りたい気さえする。
特にキューバやブラジルなどはイベリア半島とアフリカの混血文化の色合いが
濃い特色や美点を持つ国も地理的にアメリカが近いために
善しも悪しきも、好きでも嫌いでもそれを意識したり影響を受けてきた。
文化・・・特に日本人に馴染深い音楽などは。
スペインで言語の壁がさほどない既存のスペイン人と移民の共同作業で
作られる新しいアフロ・イベリア文化とはどんなものになるのだろうか。
どんな音楽が創造されていくのだろうか。
それを想うと期待でワクワクするのだ。
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